珪藻土製品の用途
珪藻土製品の工業的価値と概要
珪藻土製品の詳しい概要や歴史などの説明は【珪藻土とは?】(化学的な特徴は珪藻土の【化学的特徴】)をご覧ください。本ページでは珪藻土製品の工業利用から見る価値や概要をまとめています。
珪藻土は長らく原土をそのまま切り出し、成形する事で釜戸やレンガなどの建材として、漆喰や漆などの塗料に使われて来ました。1866年に担持体としてダイナマイトの原料に使われ、1886年に製糖工程で濾過助剤としての利用発明があってから本格的な工業利用が始まります。
工業利用が始まった当初は、原土を水洗いし不純物を取り除き自然乾燥させた「水洗い品」が製造方法の主流であり、触媒用途で様々な化学薬品の製造に有効な効果を示す事が判明すると、不純物を取り除いた珪藻土原土を高温燃焼処理し、粒度調整を行った高性能品が誕生し、現在に至ります。
現在では、粒度や嵩密度などに応じた分級が行われ、濾過分野では、液体だけでなく気体の分離もその範疇に入っております。
固気分離用途の詳細説明は、昭和化学工業が提供する【クリアエイド】の説明をご確認下さい。
また、珪藻土は植物性プランクトンである珪藻の化石であり、珪藻の種類により珪藻土製品の工業的利用を行うにあたっての機能に違いがあるのも特徴です。
■シリカ純度が高い原土を産出する鉱区例
アメリカ カリフォルニア州で採掘製造される珪藻土製品は、原土の状態でシリカ純度が非常に高く、更に白色度も高いため、それら原土由来の特性を要求される製薬業界向け濾過助剤としての優位性が高いとされています。
■最大の粒径と細孔構造が残る原土を産出する鉱区例
岡山県北部の真庭市蒜山地区で昭和化学工業が採掘製造する珪藻土製品は、原土の元となる珪藻土殻が世界で産出される珪藻土の中で最大の大きさ(粒径)であり、また堆積年数が短く地盤変動による圧力が少なかったため、細孔構造が残り、焼成珪藻土製品では最大の嵩密度(フワフワ状態)と最大の濾過速度を実現出来ることが特徴です。このため、粘度が高い液体の濾過を行う特にドラムフィルター濾過方式では、その優位性が発揮されます。
■白色度が高い原土を産出する鉱区例
秋田県北秋田市で昭和化学工業などが採掘製造する珪藻土製品は、海が隆起して誕生した鉱区から原土を採掘し、高い白色度の製品を製造しています。白色度が高い製品は、混ぜ込む対象の色合いを阻害しないことで、塗料やシリコーンゴムなどの充填材として優位性が発揮されます。
鉱床によって、性質の異なる珪藻土原土が産出される理由は【珪藻土とは?ページの歴史】で詳しく説明していますが、植物プランクトンである珪藻が大量発生した湖などの閉鎖空間内で、珪藻の種類間での激しい生存競争の結果、優占種(生存競争に勝ち抜けた品種)が残り、優占種の化石によって珪藻土原土の性質に差異が出る事がその答えの一つとなります。
優占種による性質の違いは【珪藻土の化学的物質特徴】のページで説明しています。なお、世界的に日本は地形変化が活発であり、珪藻土のバリエーションが豊富な事で有名です。珪藻土の元となる植物性プランクトンの珪藻は約10万種類以上から成り、その内優占種は18種存在すると言われています。
珪藻土製品はイギリスの産業革命以降の近代工業において、人類が発明した産業と共に急速に用途開発がされており、現代の文化的生活の象徴である医療や食品、車、情報通信機器、石油製品など殆どの産業と製品で幅広く採用されております。
珪藻土の主要な使われ方
珪藻土は10ミクロン~100ミクロンというミクロな独立細胞をなした多孔質体です。このシリカ質でできた珪藻殻の形状は、極めて広い表面積を形造り、濾過助剤や充填材の重要な性質となっています。
濾過助剤としての使用
液体を対象とした濾過助剤
・飲料分野(ビール、日本酒、ワイン、清涼飲料水など)
・食品分野(醤油、砂糖、甘味料、みりん、酢、食用油など)
・医薬品分野(抗生物質など)
・油関連(圧延油、潤滑油など)
・化学分野(酸化チタン、メッキ液再生など)
・プール、温浴施設関連
・環境浄化関連(排煙脱硫、工場排水)
業界 | 濾過対象 |
飲料 | 酵母菌や混濁物質の濾過 |
食品 | 原料・副原料のカス又は脱色用活性炭や活性白土の濾過 |
医薬品 | 菌の濾過 |
油 | 切削磨耗金属粉の濾過 |
化学 | 酸化物や原料中の不純物の濾過 |
プール、温浴施設 | 皮脂等の汚れの濾過 |
環境浄化 | 水質汚濁物質の濾過 |
乾式での濾過助剤(反応助剤)
乾式濾過での助剤をお使い頂く場合のお客様におけるメリットは次の通りです。
・バグフィルターの目詰まりを防止し、通気度を維持する。
・反応物(塩化カルシウム)が吸湿することで生じる目詰まりを防止する。
・消石灰と有害ガスとの反応を促進させる。
・着火カーボンによる焼損を防止する。
触媒
・珪藻土製品のもつ高い空隙と無機鉱物であることを応用し、反応させたい物質と珪藻土製品を混合させる事で広い反応面積を確保し、効果を高める触媒性能もあります。
更に詳しい説明を【濾過助剤としての珪藻土】で行っています。
充填材としての使用
珪藻土製品がもつ特有の細孔と、殻相互の空隙とによる大きな空隙率は中空と同等の構造を形成し、軽量にもかかわらず高い断熱効果と保温効果を発揮します。古くから高い断熱効果を利用し、例えば国内では七輪として日常生活を支えてきました。それら珪藻土製品がもつ特性を活かし、機能を持たせるための添加剤として、主原料の使用量を低減しコストダウンを実現するための充填材としてお使い頂けます。
具体的には、塗料などの建築資材業界、合成樹脂やゴム業界などに実績があります。
更に詳しい説明を【フィラーとしての珪藻土】で行っています。
担体としての使用
農薬・殺虫剤・肥料用途
・不活性:主剤を変質させない。
・吸液性:主剤をよく吸収する。主剤を珪殻中に取り込むため凝固を防ぎ、散布性をよくする。
触媒用途
・濾過性能の改善と触媒性能の効率化
更に詳しい説明を【担持体としての珪藻土】で行っています。
その他の使い方
害虫駆除剤
・珪藻土のサイズと形状が特定の昆虫駆除に対して有効である事が近年の研究が明らかになりました。
更に詳しい説明を【害虫駆除剤としての珪藻土】で行っています。